ハイパフォーマンス 遠心エバポレーター
EZ-2 シリーズ 4.0
オールインワンの高性能遠心エバポレーター
EZ-2シリーズは、遠心チャンバー、真空ポンプ、冷却トラップ(コンデンサー)を一体化したコンパクトな遠心濃縮装置です。
突沸防止機能、自動運転停止機能、優れた溶媒耐性(HCl耐性、DMSO耐性)、HPLCフラクションのワンステップ凍結乾燥機能など、長年の経験から開発された様々な優れたテクノロジーを詰め込んだATS Genevac 遠心エバポレーターの中核モデルです。
プレセットされた運転メソッドから溶媒の種類に合わせてプログラムを選択するだけで、誰でも簡単に最適な運転が可能で、ユーザー様から使い勝手の良さをお褒めいただいています。
創薬化学、プロセス化学、薬物動態分析、物性研究、ペプチド合成、DNAオリゴ合成、アミノ酸分析、環境分析、食品分析、メタボロミクスなど幅広い用途におすすめの遠心エバポレーターです。
EZ-2 4.0 シリーズの特徴と利点
-
- ハイパワーIRランプによる効率的なサンプルホルダーの加熱でハイスピードな濃縮乾固を実現
- IR温度センサーがサンプルの乾固を感知して自動で運転をストップし、過加熱を防止
- 塩酸やDMSOまで使用可能な優れた溶媒耐性(対応溶媒は機種によります)
- 最大80 gのインバランスまで対応
- 逆相HPLCフラクションをワンステップで凍結乾燥(モデル: Elite)
- 温度を設定し、溶媒のタイプを選択するだけの簡単操作で最適な濃縮を実現
- 独自のコンデンサーSpeedTrapは、デフロスト不要なので排液処理が容易
- 各サイズの試験管とバイアル、プレート、遠心チューブ、エッペンチューブからフラスコまで、様々な容器を使用可能
様々なメリットをもたらす先進のテクノロジーを搭載
突沸と泡立ちを防止 Dri-Pure |
|
遠心濃縮機は突沸を防止するように設計された装置ですが、遠心力だけで突沸を抑制するには限界があります。 特に、極端に沸点の低い溶媒(例:DCM)や混合溶媒系(例:水/アセトニトリル)、あるいは天然物サンプルなどは遠心力をかけていても突沸の危険性があります。 SP-Genevac独自の突沸抑制機能Dri-Pureでは、遠心力に加え、運転開始時の圧力を厳密にコントロールすることで、サンプルの突沸や泡立ちを効率的に抑制します。サンプル間のクロスコンタミネーションとサンプルロスを防ぎ、安全な濃縮を実現します。 |
---|---|---|
精密に温度を制御 SampleShield |
|
迅速にサンプルを濃縮/乾固するには、運転中に効率的に熱を供給する必要があります。 EZ-2ではIRランプによりサンプルへ熱を与えています。サンプルに直接照射するのではなく、伝熱のよいアルミ製ホルダーの底面に照射することで効率的にサンプルへ熱を供給します。 またIRランプの点灯頻度からサンプルの乾固を自動的に検知し、運転を自動てストップできるため、サンプルへの過加熱を防止して、化合物の熱変性を回避できます。 |
溶媒の種類に合わせて メソッドを選択 |
|
溶媒の種類により、最適な圧力、濃縮時間は異なります。 EZ-2には予めメソッドが入力されており、使用する溶媒の種類に合わせてメソッドを選択するだけで簡単に運転を開始できます。 また、特殊なアプリケーションにはカスタムメソッドを入力することも可能です。 |
耐塩酸仕様 (オプション) |
|
塩酸等の強酸で装置が壊れて困ったことはありませんか? EZ-2の耐塩酸仕様モデルでは、溶媒蒸気が触れる部分に極めて耐性の高い素材(ハステロイ)を使用しているため、他社の耐酸性をうたっている装置よりも、強酸に対してはるかに優れた耐性を持ち、長期間にわたり継続して装置をお使いいただけます。 |
不活性ガスパージシステム (オプション) |
|
爆発の危険性のあるジエチルエーテルやペンタンなどには、不活性ガスパージシステムをお使いください。 運転前に装置内を不活性ガスで置換することで庫内の酸素濃度を燃焼範囲以下に抑え、安全に濃縮操作を行うことが可能です。 また、不活性ガスパージオプションは、脂質など酸化の恐れがあるサンプルにも有用です。 |
ワンステップ凍結乾燥機能 (EZ-2 Elite) |
|
逆相HPLCフラクションからワンステップで凍結乾燥を行う機能です。水/アセトニトリル(あるいは水/メタノール)からの凍結乾燥は、最初にアセトニトリル(メタノール)を除去し、そのあとで予備凍結と凍結乾燥を行うという3ステップが必要でした。 このLyoSpeed機能を用いることで、すべての工程をワンステップで手放しで行うことが可能になります。 |
極めて簡単で便利な操作性
簡単3ステップ
EZ-2の使い方は極めて簡単です。
まず最初に、サンプルホルダーにサンプルをセットし、遠心チャンバーに載せます。
そのあとは、運転プログラムと保護温度を設定してスタートボタンを押すだけで、最適なメソッドですぐに運転を開始できます。
❶ サンプルの保護温度を選択
サンプル(サンプルホルダー)の加熱温度を1℃刻みで設定します。
運転中はIRランプでサンプルホルダーを加熱しますが、ホルダーが設定した温度以上には上がらないように精密にコントロールされます。
設定温度が高いほど濃縮スピードが上がりますが、サンプルの性質に合わせて決定します。
加熱なし(ランプOFF)の選択も可能です。
❷ 運転メソッドを選択
EZ-2には予め最大10種類の運転プログラムがセットされています。
溶媒の沸点や混合溶媒かどうかなどにより運転メソッドを選択します。
運転メソッドはクイックガイドを見るだけですぐに選択できます。
❸ スタート
STARTボタンを押すと、溶媒の種類に合わせた最適なプログラムで運転が開始します。
オートモードではサンプルが乾固するとすべての運転を自動的に停止します。
運転時間を設定することも可能です。
手動デフロスト不要の冷却トラップ(SpeedTrap)
これまでの遠心エバポレーターでは、運転が終わるたびに手動でコンデンサーの霜取り(デフロスト)と廃液が必要で、実験の作業効率を妨げていました。
EZ-2シリーズではこの課題を解決し、自動デフロストと自動冷却が可能な冷却トラップを搭載し、この課題を解決しています。
EZ-2 Standard / Plus
- 自動霜取り(Auto Defrost)&冷却で待ち時間なくお使いいただけます。
- 透明なガラス製なので濃縮の進行を目視で確認できます。
- 冷却コイルに溶媒蒸気が直接触れるので、効率よく溶媒を捕集できます。
- 回収ジャーをくるっと回すだけで簡単に取り外し出来るので、廃液が簡単です。
EZ-2 Elite
- 運転中/運転終了後に自動で霜取り&排液(Auto Defrost&Drain)を実施。
- サンプル処理量を気にする必要なく、また次の運転を速やかに開始できます。
- 沸点の異なる混合溶媒系の処理でも、安全に、最適な処理時間で濃縮できます。
日常メンテナンスフリーのオイルフリー真空ポンプ
油回転ポンプ(オイルポンプ)は、オイル交換等の日常メンテナンスが頻繁に発生し、修理頻度も多いという問題がありました。
EZ-2シリーズでは、すべての機種でオイルフリーの真空ポンプを採用しています。
EZ-2 Standard / Plus
本体内蔵のダイアフラムポンプを搭載
- 有機溶媒などの低沸点溶媒、水系溶媒など沸点165℃未満の多くの溶媒に対応
-
到達真空度
EZ-2 Standard: 10 mbar
EZ-2 Plus: 2 mbar
EZ-2 Elite
外付けスクロールポンプを本体に接続
- 低沸点溶媒と水系溶媒に加えて、DMSOやNMPなどの165℃以上の高沸点溶媒にも対応
- 逆相系サンプルのワンステップ凍結乾燥が可能
-
到達真空度
EZ-2 Elite: 0.5 mbar
突沸防止機能であなたのサンプルを保護
濃縮運転中の溶媒の突沸は、大切なサンプルを失わせる、あるいはサンプル間のコンタミネーションにより分析結果を狂わせる可能性があるため大変に危険です。
水/アセトニトリル、DCM/メタノール、クロロフォルム/メタノールなどいくつかの混合溶媒は頻繁に突沸を引き起こすことが知られています。
また、天然物由来サンプルなども突沸あるいは泡立ちを引き起こしやすい性質をもちます。
遠心エバポレーターはサンプルに遠心力を付加するため、ロータリーエバポレーター等と比べて突沸を起こしにくい装置ですが、これらの溶媒あるいはサンプルでは、それでもなお突沸を経験した方も多いと思います。
EZ-2シリーズはこの問題を解決するためにDri-Pureと呼ばれるテクノロジーを搭載しています。
Dri-Pureでは、運転中に圧力勾配を作ることで、突沸の問題に対処しています。また、混合溶媒では、沸点の低い溶媒が残っている間は沸点の高い溶媒が沸騰しない圧力に制御します。
図(写真)はディープウェルプレートでの実験例です。左がDri-Pureなしの結果、右がDri-Pureありの結果を示します。
HPLCフラクションに便利なワンステップ凍結乾燥機能
逆相HPLCフラクションサンプルの凍結乾燥を行っていませんか?
水/アセトニトリルや水/メタノール等の逆相HPLCフラクションを凍結乾燥する場合、通常は以下のステップで行います。
① アセトニトリルやメタノール等の有機溶媒をとばす。
② 水を凍結する(予備凍結)。
③ 凍結乾燥する。
例えば、ロータリーエバポレーターで有機溶媒をとばし、ドライアイスや液体窒素を用いてサンプルを凍結し、フリーズドライヤーで凍結乾燥を行います。
この工程は、特にサンプル数が多い場合、非常に面倒で時間がかかります。
EZ-2シリーズの1つ、EZ-2 Eliteを用いると、上記の工程のすべてを装置内で自動で行うことができます。
逆相HPLCフラクションを‘液体’のまま装置にセットして運転を開始するだけで、ワンステップで、しかも多検体同時に凍結乾燥することが可能です。
このワンステップ凍結乾燥を可能にしているのは、自動デフロスト&ドレイン機能(自動解凍&排液機能)を備えた冷却トラップと高真空が得られる外付けのスクロールポンプです。
EZ-2 Eliteでは、下記のStep1~5をプログラムにより全自動で行います。
Step1: 最適な圧力コントロール(約40 mbar)を行いながら、水を残してアセトニトリルやメタノール等の有機溶媒を除去する。
Step2: 冷却トラップ(コンデンサー)に回収された有機溶媒を自動でデフロスト&ドレインする。
Step3: コンデンサーの温度を下げる
Step4: 装置内をさらに減圧して(約1 mbar)、水を自発的に凍らせる。
Step5: そのまま高真空を維持して凍結乾燥を行う。
様々なサンプル容器に対応
EZ-2シリーズには、様々な容器に対する100種類以上の豊富なサンプルホルダーがラインナップされています。
試験管・バイアル瓶・遠心チューブ・マイクロチューブ・プレート・小型フラスコなど、様々なサイズのサンプル容器をお使いいただけます。
1台につきサンプルホルダーを2個搭載できます。
モデル比較
機種により対応できる溶媒と機能が異なります。ご使用予定の溶媒に合わせて最適な機種をご選択ください。
使用する溶媒が下表の例にないなど、適した機種の選択に困りましたらいつでもご相談ください。
EZ-2 (Standard) |
EZ-2 Plus |
EZ-2 Elite | ||
沸点~120℃ |
エタノール メタノール アセトニトリル ヘキサン 酢酸エチル クロロフォルム DCM THF TFA ギ酸 |
● | ● | ● |
沸点~165℃ |
DMF 1ブタノール 酢酸ブチル SMAc |
● | ● | |
沸点~220℃ |
DMSO NMP |
● | ||
強酸 |
塩酸 塩化チオニル 臭化水素酸 HFIP |
● (耐塩酸仕様) |
● (耐塩酸仕様) |
● (耐塩酸仕様) |
硝酸 |
● (耐塩酸仕様) |
|||
TCA プロピオン酸アミル |
● (耐塩酸仕様) | |||
逆相溶媒サンプルのワンステップ凍結乾燥 | 不可 | 不可 | 可能 |
製品仕様
EZ-2 (Standard) | EZ-2 Plus | EZ-2 Elite | |
---|---|---|---|
メカニカルデータ | |||
最大回転数 | 1920 rpm | ||
最大遠心力 | 500 G | ||
ドライブシステム | ダイレクトドライブ方式 | ||
最大サンプル搭載量 | 2 x 1.5 kg (ホルダー重量を含む) | ||
最大インバランス | 80 g | ||
加熱方式 | ハイパワー IR ランプ | ||
真空システム | |||
真空ポンプ | 2ヘッド ダイアフラムポンプ | 4ヘッド ダイアフラムポンプ | スクロールポンプ |
圧力コントロール | プログラムにより自動制御 | ||
最大到達真空度 | 11 mbar | 3 mbar | 0.4 mbar |
温度コントロール | |||
温度制御範囲 | ランプ OFF、30~80 ℃ | ||
温度設定単位 | 1 ℃ | ||
温度センサー | 赤外線パイロメーター | ||
コンデンサー | |||
運転温度 | -35 ℃ | ||
最大溶媒回収容量 | 1 L | ∞ (オートドレイン) | |
使用冷媒 | R1270 | ||
冷媒充填量 | 0.028 kg | ||
CO2e | < 0.1 t | ||
サイズと重量 | |||
サイズ | 幅620 x 奥行620 x 高さ580 mm |
(本体)幅620 x 奥行625 x 高さ580 mm (ポンプ)幅432 x 奥行282 x 高さ302 mm | |
重量 | 90 kg | 90 kg | 116 kg |
電源 | 100V、15A、50/60Hz |