卓上遠心濃縮機
miVac シリーズ
ベストインクラスの性能と使い勝手
~汎用型の遠心濃縮機~
miVacシリーズは、先進技術を搭載した高性能な遠心エバポレーターを専門で製造開発するATS Genevacの中で最もベーシックなタイプの遠心濃縮機です。
ベーシックで汎用的ながら、処理時間のスピードUP、細やかな運転メソッド設定、使い勝手とメンテナンス性の向上など、随所に大型の高性能遠心濃縮機を手掛けるSP Genevacならではテクノロジーを搭載しています。
プロテオミクスやメタボロミクスにおける質量分析の前処理、糖鎖分析、DNA/RNAワークなどのライフサイエンス実験がおススメの使用分野ですが、溶媒の種類やサンプル種あるいはサンプル量に応じて、合成化合物のHPLCフラクションの濃縮乾固、各種分析業務の前処理などでもお使いいただけます。
❶ 優れた熱伝達で濃縮乾固をスピードアップ
遠心濃縮機では、溶媒の気化でサンプルから失われる熱(蒸発潜熱)を効率的に補填することが、濃縮乾固のスピードをアップする最大の秘訣です。miVacシリーズでは、3つの工夫によりサンプルへの効率的な熱伝達を実現しています。
熱伝導に優れた
一体成型サンプルローター
遠心チャンバーの熱をサンプル容器に効率的に伝えるために、アルミニウム製の一体成型ローターを使用しています(JetRotor)。
真空下でも効率的に熱を伝える
エアイン機能
真空下では空気がないため、そのままでは遠心チャンバーの熱はサンプルローターに伝わりません。miVacシリーズは熱伝導媒体として周期的にチャンバーに空気を入れて熱伝達を促進する機能を持ちます。
温度上昇のタイムロスを短縮する
プレヒート機能
運転を開始してから遠心チャンバーが設定温度まで上がり、ローターに熱が伝わるまでには時間がかかります。このタイムロスをなくすために、プレヒート機能を利用可能です。
下図はmiVacシリーズでのサンプル乾固時間の例です(単位は時間:分)。溶媒蒸気を効率的に回収する冷却トラップ(SpeedTrap)も合わせて、スピードアップに役立っています。
※ さらなるスピードアップをご希望の方は、IRランプによる加熱方式を採用している上位機種の EZ-2シリーズや HTシリーズがおすすめです。
性能が良いはずの真空ポンプを使っているのに溶媒がなかなかとばない
そんなご相談をお受けすることがございます。
実は遠心濃縮機において、よほど高沸点の溶媒をとばそうとしない限り、真空ポンプの性能と溶媒留去のスピードはあまり関係がありません。
すべての溶媒は、その溶媒の種類(もっというとその溶媒の大気圧下での沸点)に応じてある程度まで減圧してあげれば十分に低い温度で沸騰します。例えば水は8 mbarまで減圧すれば7.5℃で沸騰させることができます。それ以上に高真空にしても、沸点が7.5℃より低くなるだけで溶媒蒸発のスピードが速くなることはありません。
また、真空ポンプの排気速度がはやいほど溶媒蒸発速度がはやまるわけでもありません。排気速度のはやいポンプは最大真空度まで達するスピードはわずかに速いかもしれませんが、遠心濃縮機のような狭い空間しか減圧する必要がない装置では、その排気速度の違いは、全体の処理時間と比べて誤差といえる範囲の違いしか生み出しません。むしろ、真空度や排気性能が必要以上に高いポンプは突沸を引き起こしやすいという点でサンプル処理に不利に働く可能性もございます。
では溶媒を速くとばすにはどうすれば良い?
溶媒留去速度の主な律速は熱エネルギーです。
濃縮乾固中のサンプルは、溶媒の蒸発に伴い気化熱により常に熱を失い、冷え続けています(蒸発潜熱と言います)。すなわちサンプルは蒸発に必要な熱エネルギーを常に失い続けています。溶媒蒸発スピードを上げるには、この蒸発に伴い失われる熱エネルギーをいかに効率的にサンプル(サンプル容器)に与える(補填する)ことができるかが最も大切です。
比熱の大きい水のような溶媒では特にこの影響が顕著です。水は蒸発に伴い熱を失いやすく、すぐに凍り付きます。熱エネルギーが不足しているなかで必要以上に減圧すると自発的に凍ってしまいます。水の留去が極端に遅いとお感じの方は、遠心濃縮チャンバー内で水が凍ってしまっているかもしれません。
miVacシリーズでは3つの工夫によりサンプルへの熱伝達効率を高め、溶媒蒸発を促進しています。
❷ 細やかな設定が可能な運転メソッド
【遠心チャンバー運転メソッド】
miVacシリーズでは、使用される溶媒の種類に合わせて3種類の運転メソッドが用意されています。それぞれのメソッドでは、熱伝達のためのエアイン(Chamber Venting)の頻度が異なります。
-
- H2Oモード:水や水溶系溶媒をとばすためのモード
- No Ventingモード:その他の有機溶媒
【2つの運転方法】
運転方法は、Auto運転(タイマーで運転をストップ)とManual運転(手動で運転をストップ)の選択が可能で、それぞれ下記の項目を設定できます。
- 全運転時間:1分単位で設定可能(Auto運転時)
- 加熱時間:運転時間とは別に加熱を行う時間を1分単位で設定可能(Auto運転時)
- チャンバー温度:30℃~80℃まで1℃単位で設定可能
- プレヒーティング:ON あるいは OFF
※ チャンバー加熱温度は1℃刻みで設定可能、さらに全運転時間(減圧と遠心を続ける時間)とは別に加熱時間を1分単位で設定できるため、熱に弱いサンプルの熱変性を極力防ぎながら濃縮乾固を行うことができます。
※ 運転開始時と運転終了時における不意の突沸を避けるために、運転開始時は十分に遠心力がかかってから真空ポンプがスタートし、運転終了時は真空が解除されてから遠心が止まるように自動プログラムされています。
※ 運転中は遠心チャンバーのリッド(蓋)が開かない安全機構が働きます。
【冷却トラップの運転モード】
また冷却トラップも溶媒カテゴリーに応じて2つのモードの選択が可能です。溶媒の種類に合わせてご選択いただくことで溶媒のトラップ効率を高めることができ、処理時間の短縮に役立ちます。
- オートデフロスト:水溶系溶媒
- デフロストなし:沸点の低い有機溶媒
プレッシャーコントローラー(オプション)
「溶媒の沸点に合わせて圧力制御をもっと最適化したい」
「混合溶媒の突沸防止のために圧力を緩やかに下げたい」
そんなご要望をお持ちの方のために圧力コントローラーオプションをご用意しています。
最低到達圧力を自由に設定したり、減圧勾配を任意に設定することができます。また、溶媒の沸点(チャンバー圧力の変化量)を自動検知してシステム圧力を自動コントロールするモードもご選択いただけます。
※ 圧力コントローラーは、真空ポンプに減圧度の高いスクロールポンプをご選択される方には必須のオプションです。
※ サンプルの突沸をさらに効果的に防ぎたい方にはDri-PURE機能を持つ上位機種の EZ-2シリーズや HTシリーズがおすすめです。
❸ 優れた使い勝手とメンテナンス性
遠心濃縮機を使用されるにあたって、『冷却トラップ(コンデンサー)の霜取りと清掃が面倒』、『真空ポンプの手入れが大変』と思われたことはないでしょうか?
miVacシリーズは、最小限の日常メンテナンスで常に最適なパフォーマンスを発揮できるように設計されています。
革新的な冷却トラップ(SpeedTrap)
miVacシリーズの冷却トラップ(SpeedTrap)はとてもユニークです。
- 極めて短時間で霜取り(デフロスト)が完了
- 冷媒(不凍液)の交換が不要
- 回収ジャーをくるっと回して取り外すだけの簡単排液
従来のコンデンサーよりもはるかに短時間で融解が終わり、排液は装置前面のガラスジャーをまわして取外すだけで完了します。
一部のコンデンサーのようにガラス回収フラスコが滑りやすい不凍液に浸かっているわけでもないので、誤って落として割ってしまうリスクはなく、不凍液を交換する作業も不要です。
短時間での霜取りと排液で、ひとつの運転が終わった後に、すぐに次の運転を始めることができるので、待ち時間がなく効率的に連続運転できます。
なぜ冷却トラップの霜取りは重要?
冷却トラップ(コンデンサー)は運転開始前に十分に霜取り(デフロスト)を行う必要があります。それはなぜでしょうか?それは氷の表面温度と関係しています。
どんなに冷却能力が高いコンデンサーでも、氷の層があると、その能力を十分に発揮できません。たとえば-100℃まで冷やすことができるコンデンサーでも、コイルが氷の層で覆われていると、実際のトラップ面の温度(≒氷の表面温度)は0℃~-15℃程度にしか下がりません。したがって、運転前には氷の層を完全に取り除いてあげないと、溶媒蒸気を効率的にトラップすることができません。
溶媒のトラップ効率が落ちると、遠心チャンバーの真空度を十分に低く保つことができないため処理スピードが落ちるだけでなく、真空ポンプに溶媒蒸気が流れてポンプの寿命を短くする原因にもなります。
miVacシリーズのSpeedTrapは、短時間で霜取りが可能で休みなく連続的に運転できるだけでなく、運転中に自動で定期的に霜取りをするモードも選択可能で、常に最適なパフォーマンスを維持できます。
日常メンテナンスフリーのオイルフリーポンプ
遠心濃縮機で使われる真空ポンプには、大きく分けて油回転式ポンプとドライポンプの2種類がございます。
miVacシリーズでは、すべての装置でドライポンプを採用しています。
ダイヤフラムポンプ2機種とスクロールポンプの計3種類からご選択いただけます。
- 2ヘッド・ダイアフラムポンプ(Duo):最低到達真空度 10 mbar
- 4ヘッド・ダイアフラムポンプ(Quattro):最低到達真空度 2 mbar
- スクロールポンプ(SV):最低到達真空度 0.5 mbar
※通常の用途ではダイアフラムポンプを選択します。
ドライポンプは、油回転式ポンプと異なりオイルの交換が不要のため、面倒な日常メンテナンスから解放されます。
➍ 対応溶媒
miVacシリーズは、水や各種有機溶媒をはじめとする大気圧下沸点120℃以下の様々な溶媒にお使いいただけます。クロロフォルム、メタノール、ギ酸、<0.5% TFAなどに対する溶媒耐性もございます。
詳しい溶媒耐性については弊社までお問い合わせください。
※ DMSOやDMFなどの中-高沸点溶媒、あるいは塩酸などの強酸は上位機種の EZ-2シリーズと HTシリーズで対応しています。
❺ 幅広い用途に対応するサンプルローター
miVacシリーズでは、1.5/2.0 mL マイクロチューブ(エッペンチューブ)、15/50 mL コニカルチューブ、試験管、バイアルなどの様々な容器に対応したサンプルローターをご選択いただけます。
多くが熱伝導性に優れたアルミニウム一体型のJetTotorです。
また、マイクロタイタープレートのご使用も可能です。
製品ラインナップ
miVacシリーズは、遠心チャンバー、冷却トラップ、真空ポンプ、プレッシャーコントローラーをそれぞれ選んで自由に組み合わせることのできるモジュラー式の製品ですが、代表的な組み合わせはセット製品として販売しております。
溶媒の種類や用途に応じた最適なシステムの選定と価格については弊社までお問い合わせください。
※ miVac DNAのみ、遠心チャンバー+真空ポンプの一体型です。
システム例
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miVac DNA | miVac Duo LV | miVac Duo HV Plus |
miVac Quattro HV (+圧力コントローラー) |
組み合わせ製品
製品番号 | 品名 | システム構成 |
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DNA-10000-G00 | miVac DNA |
・miVac DNA(チャンバー+ポンプ一体型) ※ エッペンチューブ48本掛 オープンローター(DRC-15EPP-048)が標準付属 |
DPP-10000-G00 | miVac Duo LV |
・miVac Duo チャンバー(小さいほうのチャンバー) ・miVac SpeedTrap ・miVac Duo ポンプ(10 mbar) ・接続キット ※ サンプルローターは別途 |
DEP-10000-G00 | miVac Duo HV Plus |
・miVac Duo チャンバー(小さいほうのチャンバー) ・miVac SpeedTrap ・miVac Quattro ポンプ(2 mbar) ・miVac プレッシャーコントローラー ・接続キット ※ サンプルローターは別途 |
QHP-10000-G00 | miVac Quattro HV |
・miVac Quattro チャンバー(大きいほうのチャンバー) ・miVac SpeedTrap ・miVac Quattro ポンプ(2 mbar) ・接続キット ※ サンプルローターは別途 |
QSP-10000-G00 | miVac Quattro SV Plus |
・miVac Quattro チャンバー(大きいほうのチャンバー) ・miVac SpeedTrap ・miVac スクロール ポンプ(0.5 mbar) ・miVac プレッシャーコントローラー ・接続キット ※ サンプルローターは別途 |
QFP-10000-G00 | miVac Quattro FD パッケージ |
・miVac Quattro チャンバー(大きいほうのチャンバー) ・miVac SpeedTrap ・miVac スクロール ポンプ(0.5 mbar) ・miVac プレッシャーコントローラー ・凍結乾燥用アクセサリーキット ・接続キット ※ サンプルローターは別途 |
製品仕様
それぞれのモジュール製品の主な仕様です。
miVac DNA
miVac DNA(DNA-10000-G00) | ||
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構成 | 遠心チャンバー+真空ポンプ一体型(冷却トラップなし) |
遠心チャンバー仕様 | 下のDuoチャンバーを参照 | |
真空ポンプ仕様 | 下のDuoポンプを参照 | |
サイズ | 幅360 x 奥行602 x 高さ300 mm(チャンバー+ポンプ) | |
重量 | 34 kg(チャンバー+ポンプ) | |
付属ローター | DRC-15EPP-048 エッペンチューブ48本掛ローター |
遠心チャンバー
miVac Duo チャンバー(DUC-10000-G00) | ||
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|
ドライブシステム | マグネットドライブ |
遠心力 | 250 G | |
タイマー | デュアルタイマー(全運転時間+加熱時間、1分刻み) | |
加熱方法 | チャンバーヒーティング | |
加熱温度 | 加熱なし、30~60℃(1℃刻み) | |
プレヒーティング | 可能 | |
サイズ | 幅360 x 奥行424 x 高さ300 mm | |
重量 | 21 kg | |
miVac Quattro チャンバー(QUC-10000-G00) | ||
|
ドライブシステム | マグネットドライブ |
遠心力 | 250 G | |
タイマー | デュアルタイマー(全運転時間+加熱時間、1分刻み) | |
加熱方法 | チャンバーヒーティング | |
加熱温度 | 加熱無し、30~60℃(1℃刻み) | |
プレヒーティング | 可能 | |
サイズ | 幅 765 x 奥行594 x 高さ300 mm(リッドストッパー含む) | |
重量 | 35 kg |
冷却トラップ
miVac SpeedTrap(MST-10000-G00) | ||
---|---|---|
|
最低冷却温度 | -50℃ |
デフロスト | 自動 | |
最大回収容量 | 1 L | |
サイズ | 幅212 x 奥行563 x 高さ450 mm | |
重量 | 25 kg |
真空ポンプ
miVac Duo ポンプ(DUP-10000-G00) | ||
---|---|---|
|
方式 | 2ヘッド ダイアフラム |
最低到達真空度 | 10 mbar | |
サイズ | 幅215 x 奥行389 x 高さ300 mm | |
重量 | 13 kg | |
miVac Quattro ポンプ(QUP-10000-G00) | ||
|
方式 | 4ヘッド ダイアフラム |
最低到達真空度 | 2 mbar | |
サイズ | 幅215 x 奥行389 x 高さ300 mm | |
重量 | 18 kg | |
miVac 高真空スクロールポンプ(SVP-10000-G00) | ||
|
方式 | スクロール |
最低到達真空度 | 0.15 mbar | |
サイズ | 幅249 x 奥行427 x 高さ288 mm | |
重量 | 23 kg |
プレッシャーコントローラー
miVac プレッシャーコントローラー(MPC-00000-G0N) | ||
---|---|---|
|
表示圧力範囲 | 0~1100 mbar |
運転モード | 3種類 | |
制御圧力 | 1 mbar 刻み | |
サイズ | 幅195 x 奥行178 x 高さ105 mm | |
重量 | 1.5 kg |
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