タンパク質結晶化条件スクリーニング用の分注装置
Gryphonシリーズ

条件検討のためのタンパク質結晶化プレートを正確かつスピーディーに作製

Gryphon シリーズ(結晶化条件スクリーニングのための分注システム)

シッティングドロップ法からLCP法まで

正確な量を、正確な位置に、素早く分注

タンパク質のX線構造解析では、良質な結晶を得られるかが、実験の成功と失敗を大きく左右します。すなわち、良質な結晶を作ることができれば、その他のタンパク質立体構造解析法を凌駕する質の高い(解像度の高い)立体構造データを得ることができます。

タンパク質はタンパク質ごとに適した結晶化条件が異なるため、X線構造解析を行う前に、最適な条件を見つける必要があります。とりわけ、タンパク質ごとに異なる至適な結晶化試薬組成を探すことが大切です。

通常、結晶化条件の検討は、初期スクリーニングと最適化の2段階(あるいは複数段階)で行われます。

初期スクリーニングでは、市販の結晶化試薬スクリーニングキット(例:Sparse-Matrix Screen Kit)を用いて、解析対象となるタンパク質を結晶化できる大まかな試薬条件を探し出します。タンパク質結晶化では、極めて高濃度なタンパク質溶液を必要とし、一般に使えるサンプル量が限られることから、多くの条件をテストするには、結晶化プレートに極めて微量なタンパク質(あるいはLCP法の場合は脂質と混合させたタンパク質)を分注する必要があります。

また、極微量であるが故に、プレート内のドロップ液がインキュベーション前に蒸発するのを防ぐために迅速な作業が求められます。

protein_crystals
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Hudson Lab Automation社(旧 Art Robbins Instruments社)のGryphonシリーズは、これらの条件をハイレベルで満たす微量分注システムです。

タンパク質立体構造解析の研究分野で長年の歴史をもち、製薬会社からアカデミアの著名ラボまで、第一線の多くの研究者の皆様に使用されています。

特徴と利点

特徴① 正確な位置に正確な量を再現性高くディスペンス

タンパク質結晶化では、様々な組成の様々な粘性の溶液を微量でかつ再現性高くディスペンスすることが求められます。

Gryphonシリーズの96チャンネルシリンジ&ニードルとディスペンスノズルは、CV <5%の再現性で≤100 nLの溶液を常に正確に結晶化ウェルやプレートにディスペンスすることができます。

LCPの分注においても他社にない高い精度をもち、Dr. コビルカ研究室を初めとして国内外を多くの有名研究室に導入されています。

特徴② ハイスピード

Grpyphonシリーズでは、タンパク質溶液だけでなく、結晶化試薬(沈殿剤)も装置で自動分注します。

96チャンネルヘッド型のシリンジ&ニードルを使用するため、1回のアクションで96ウェルに同時に結晶化試薬をうつことが可能で、結晶化プレート作成の手間を削減することができます。

1枚のプレートの作製に要する時間が短く、溶液の蒸発を最大限に防ぐことができます。また、ウェル間での蒸発の違いによる差もミニマムです。

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68%,29%

特徴③ 低ランニングコスト

Gryphonシリーズは、結晶化試薬、精製タンパク質溶液、LCPすべての分注にカートリッジや使い捨てチップを使用しません。

結晶化試薬の分注には形状記憶合金の1つであるニチノール製のニードルを使用します。また、タンパク質溶液やLCPのディスペンスには金属製のノズル(ニードル)を使用します。

そのためランコストを最小限に抑えることができます。

LCP_syringe
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ワークフロー

シッティングドロップ法

蒸気拡散法の1つであるシッティングドロップ法では、リザーバーウェルに結晶化試薬(沈殿剤)を分注する必要がありますが、Gryphon システムでは、リザーバーウェルへの分注も含めて一連の流れで行うことができます。

所要時間は通常わずか1分以内です。ドロップされた液の蒸発を気にすることなく分注作業を完了できます。

通常は下記の順番で分注作業が行われます。

  1.  結晶化試薬を96チャンネルシリンジに吸引する。
  2.  冷却した精製タンパク質溶液をナノノズルに吸引する。
  3.  結晶化試薬を結晶化プレートのリザーバーウェルに分注する。
  4.  続けて微量の結晶化試薬をサンプルウェルにディスペンスする。
  5.  タンパク質溶液をサンプルウェルにディスペンスする。
  6.  96チャンネルシリンジとナノノズルを洗浄する(動画外)。

※ ハンギングドロップ法にも対応しています。詳細はお問い合わせください。

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脂質キュービックフェーズ法(LCP法)

膜タンパク質結晶化の最新の手法である脂質キュービックフェーズ法(LCP法)では下記の順番で分注作業が行われます。

所要時間は通常わずか1分以内です。ドロップされた液の蒸発を気にすることなく分注作業を完了できます。

  1.  LCPをミックスしたLCPシリンジを装着する(動画外)。
  2.  結晶化試薬(沈殿剤)を96チャンネルシリンジに吸い取る。
  3.  LCP溶液をディスペンスする。
  4.  結晶化試薬をディスペンスする。
  5.  96チャンネルシリンジを洗浄する(動画外)。

※ Art Robbins社のLCPミキサーの動画は こちら

※ LCPシリンジのセットアップ法の動画は こちら

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モデル比較

Gryphonシリーズには、対応する結晶化法に応じて3モデルがございます。

 
crystal_gryphon

Crystal Gryphon

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Gryphon LCP

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Crystal Gryphon LCP

蒸気拡散法  
LCP法  

アップグレード

ご購入後にCrystal GryphonからLCPモジュール付きのCrystal Gryphon LCPへのアップグレード、Gryphonから蒸気拡散法も可能なCrystal Gryphon LCPへのアップグレードが可能です。

製品仕様

GryphonLCP_full
パフォーマンス仕様
  Crystal Gryphon Gryphon LCP Crystal Gryphon LCP
96chヘッド シリンジ
ニードル ニチノール製ニードル
分注範囲 100 nL ~ 100 μL
CV値 < 5%
Nano ディスペンサー
分注範囲 50 nL ~ 100 uL 50 nL ~ 100 uL
CV値 < 5%(100 nL~) < 5%(100 nL~)
LCP モジュール
分注範囲 25 nL ~ 2 μL
CV値 < 5%
プレート作製時間
LCP プレート 2分以内/枚
シッティングドロッププレート 1分以内/枚 1分以内/枚
XYステージ
プレートポジション 2 ポジション
位置精度 ± 5 μm
基本仕様
  Crystal Gryphon Gryphon LCP Crystal Gryphon LCP
サイズと重量
ベースユニット 幅59 x 奥行59 x 高さ51 cm
31.0 kg
Wash ポンプモジュール 幅17 x 奥行36 x 高さ15 cm
2.5 kg
2台
幅17 x 奥行36 x 高さ15 cm
2.5 kg
1台
幅17 x 奥行36 x 高さ15 cm
2.5 kg
2台
Nano ディスペンサー 幅15 x 奥行41 x 高さ24 cm
8.4 kg
幅15 x 奥行41 x 高さ24 cm
8.4 kg
消費電力
ベースユニット 120/240 VAC、3 A、50/60 Hz
Wash ポンプモジュール 120/240 VAC、2 A、50/60 Hz
Nano ディスペンサー 120/240 VAC、1.5 A
50/60Hz
120/240 VAC、1.5 A
50/60Hz

製品/シリーズに関するお問い合わせ

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