ハイアフィニティ分子間相互作用解析システム
KinExA 4000

ハイアフィニティ分子間相互作用解析装置 KinExA 4000

高親和性抗体をお持ちですか?

pMからfMの低い平衡解離定数(KD)のリガンドの親和性を正確に測定

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KinExAの世界、それはサブピコモル(sub pM)からフェムトモル(fM)という非常に低い解離定数(KD)の領域にあります。

抗体工学が発達した現在、非常に高い親和性を持つ抗体分子が多く開発されています。

表面プラズモン共鳴法(SPR)やバイオレイヤー干渉法(BLI)、あるいはELISA法では、これらの高親和性抗体の解離定数(KD)を正確に測定することが困難でした。

KinExA法は、世界で初めて、高親和性抗体の親和性を正確に測定することを可能にした技術です。

KinExAを用いると、開発中の抗体を親和の指標から信頼性高く順位付けすることが可能で、SPR法などの既存技術と補完的にお使いいただけます。

開発候補品の選定を中心に、世界のバイオファーマで活用されています。

なぜKinExA?

表面プラズモン共鳴法(SPR)によるアフィニティ測定では、相互作用を測定したい2つの分子のうちの一方の分子(リガンド)をセンサーチップの表面に固定化し、他方の分子(アナライト)を含む溶液をセンサーチップの表面に流します。そして2つの分子の間で相互作用が起こることによって生じる質量の増加をセンサーチップ表面の溶媒の屈折率の変化として測定します。

この方法では、❶センサーチップ表面に固相化された分子の生物活性が維持されないことがある、❷Mass Transport Limitationの問題がある(固定化したリガンドに対して単位時間当たり十分量のアナライトが供給されないと測定結果の正確性が担保されない)、❸測定できる分子のサイズ(分子量)に限界がある、などの問題がございます。また、結合と解離をリアルタイムに測定する方法であるため、解離が遅いリガンドの親和性を正確に定量するのが困難です。

KinExA法では、溶液中(液相)で既に平衡状態にあるリガンドと受容体をサンプルとして用いて、未結合のリガンド(あるいは受容体)のみをシグナルとして検出します。2つの分子間の相互作用は液相で起こるため、固相化よる生物活性ロスの心配がなく、Mass Transport Limitationの問題も生じません。また、平衡状態でサンプルの測定を行うため、解離が遅いリガンドでもその親和性を正確に定量可能です。さらに、生体分子から細胞まで様々なサイズの測定対象の分子間相互作用を測定できます。

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KinExA テクノロジー(測定原理)

1.平衡化

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一定濃度の抗体溶液と段階希釈した抗原溶液を混合して平衡化させます。

※ 抗体と抗原は逆にしてもアッセイ可能です。

2.固相の準備

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ビーズ表面に抗原をコートします。

抗原のビーズへのコンジュゲーションは下記のどちらか方法で行います。
- 吸着(例:Polystyrene ビーズ)
- 共有結合(例:Azlactone ビーズ)

テクノロジーノート(TN222)をダウンロード

3.測定

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❶ 抗原を表面に固定したビーズをフローセルに充填する。

❷ 平衡化したサンプル溶液をフローセルに流す。ビーズ上に「未結合の抗体」のみが捕捉される。

❸ 蛍光標識抗体をフローセルに流す。蛍光標識抗体はビーズに捕捉された「未結合の抗体」のみに結合する。

❹ バッファーで余剰色素を洗浄する。

❺ 蛍光強度を測定する。

❻ ビーズを排出し、平衡化したチューブの数だけ❶~❺を繰り返す。

4.解析

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上記の❶~❻を全てのサンプル溶液で繰り返します。測定はオートサンプラーにより自動で行われます。

得られた結合曲線からソフトウェアで解析を行い平衡解離定数(KD)を算出します。

フローセルでの測定中に平衡状態が影響を受けない?

KinExAでは、固相ビーズとサンプルの接触時間が抗原抗体複合体の解離速度よりも短くなるように、流速をコントロールしています(<0.5秒程度)。したがって、フローセル内での反応中にサンプル溶液の抗原抗体複合体が解離して、平衡状態が乱されることはありません。KinExAが速度論的排除法とも呼ばれる所以です。

テクノロジーノート(TN221)をダウンロード

kon と koff はどうやって測定するの?

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平衡化される前の抗原-抗体混合溶液を一定時間の間隔でフローセルに流し、抗原に未結合の抗体量の時間変化を測定することで、kon値を算出します。

KinExA法は溶液中での抗原と抗体の結合を測定する方法です。一方を固相化するSPR法とは異なり自然な結合に由来するkon値を得ることができます。

koff値は、すでに得られたKD値とkon値から計算により導き出します。
(koff = KD x kon)

KinExA Pro ソフトウェア

KinExA 4000あるいはKinExA 3200で得たデータはKinExA Pro ソフトウェアで解析を行います。

KinExA Pro ソフトウェアを用いることで、複雑な数理学的な解析を簡単な操作で行うことが可能です。最小限の解析時間で様々なパラメーターが考慮された信頼性の高い結果を得ることができます。

シングルクリック解析

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実測データの理論カーブへのフィッティングをワンクリックで行い、
平衡解離定数(KD)を算出します。

それ以外に、活性のある抗体(あるいは抗原)の濃度(Active CBP)と割合、結合曲線のタイプ(High Ratio Curve or Low Ratio Curve)、実測データと理論カーブの誤差(エラー)など、様々な情報を得ることができます。

95%信頼区間の算出

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KinExA Pro ソフトウェアでは、結合曲線の生成と同時に95%信頼区間の算出が自動で行われます。

平衡解離定数(KD)、活性のある抗体(抗原)濃度(Active CBP)のそれぞれについて、データの確からしさを知ることができます。

データは数値化されるとともに視覚化され、95%信頼区間カーブの傾きが急峻であるほど、得られた数値の信頼性が高い(幅が狭い)ことがわかります。

マルチカーブ解析

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KinExAでは、未結合の抗体(抗原)の量を定量することで結合曲線を取得します。

この結合曲線はマルチパラメーター解析であり、平衡解離定数(KD)と活性のある抗体(抗原)濃度(Active CBP)に依存します。

未知サンプルの測定では、この作業は常に手探りです。得られた結合曲線からKDとActive CBPのどちらを正確に定量できるかは、実験者が設定した抗原(抗体)濃度の範囲に依存します。

KinExAではこの問題をマルチカーブ解析によって解決します。Active CBPによってコントロールされる結合曲線(High Ratio Curve)とKDによってコントロールされる結合曲線(Low Ratio Curve)をそれぞれ作成し、この2つの結合曲線を統合して解析を行います。

その結果、KDとActive CBPのどちらについても信頼性の高い正確な数値を得ることができます。

テクノロジーノート(TN229)をダウンロード

理論カーブ(Theory Curve)

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KinExAを用いた測定において、実験者は段階希釈する抗原(抗体)の濃度範囲や平衡化に要する時間を予測して実験のデザインを行います。

KinExA Pro ソフトウェアには、この予測を行うためのツールとしてTheory Curve機能が組み込まれています。

実験者はTheory Curveを使用することで適切な実験条件を設定することが可能になります。

Theory Curveの一部の機能はSapidyne Instuments社のホームページでもご利用いただけます。

Theory Curveの使い方の説明(TN220)をダウンロード

Saidyne社のホームページでTheory Curveを見る

アプリケーション

親和性測定(Affinity & Kinetics)

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リガンド(右図L)と受容体(右図R)の親和性は、結合速度定数(konあるいはka)と解離速度定数(koffあるいはkd)から決まります。

結合が速く、解離が遅いリガンドほど親和性が高くなります。すなわち平衡解離定数(KD)が小さくなります。

抗体と抗原の相互作用では、結合速度定数はそれぞれの分子の拡散定数によって制御され、その上限には限界があります。

一方で解離速度定数には制限がほとんどなく、抗体分子の親和性は解離速度定数で決まります。

生体の免疫系で作られる抗体には解離速度が非常に遅いものは存在しませんが、生体工学的に創られた抗体分子には解離速度定数が低く、抗原からなかなか離れない抗体を創成することが可能です。

抗体創薬において、このような高親和性の抗体をいかに選別するかは、薬理学的および薬物動態学的に優れた治療抗体を開発パイプラインに導入するためのキーポイントのひとつです。

KinExA法を既存の分子間相互作用解析技術と併用し、適切なステージでお使いいただくことで、高分子医薬品の開発を促進することができます。

※ KinExAは測定スループットが低いため、スクリーニング目的には適しません。

KinExAシステムは国内外の多くのバイオファーマで抗体医薬品の開発に使われ、リード最適化と開発候補品の選定を中心に、その有用性が実証されています。お客様の声の一部をご紹介します。

Pfizer社

" By tailoring the KinExA to each studied antigen, we obtained apparent equilibrium dissociation constants
 (Kd values) spanning six orders of magnitude, from approximately 100 fM to 100 nM. "

Bee C. et. al. 2012 Exploring the dynamic range of the kinetic exclusion assay in characterizing antigen-antibody interactions.

PLoS One. 2012;7(4):e36261.

MedImmune社

The kinetics of binding and affinity of the 4 chimeric clones to human IL-21 were determined
using a kinetic exclusion assay (KinExA)...Among the four lead clones,
19E3 had the highest affinity to recombinant human IL-21 of 243 fM "

Reena Varkey et. al. 2019 Discovery and characterization of potent IL-21 neutralizing antibodies via a novel alternating antigen immunization and humanization strategy.

PLoS One. 2019 Jan 25;14(1):e0211236.

Roche社

We measured the affinities of the further engineered DutaFab clone VP mat YHE
for both VEGFA-121 and PDGF-BB, using the Kinetic Exclusion Assay (KinExA) method,
which provides 1:1 interaction data determined entirely in solution and
is thus suited to the dimeric nature of the targets that could potentially produce avidity effects
in other experimental set-ups. " 

Beckmann R, Jensen K, Fenn S, et al. DutaFabs are engineered therapeutic Fab fragments that can bind two targets simultaneously.

Nat Commun. 2021;12(1):708.

Whole cell assayで細胞膜タンパク質に対する抗体の親和性を測定

KinExAは、抗体と受容体の相互作用解析をセルベースで行うことができます。

創薬ターゲットがバッファーに不溶な膜タンパクである場合、従来の解析手法ではアフィニティを測定することができませんでした。また、バッファーに可溶化できたとしても、膜タンパクの立体構造が保たれないため、本来の相互作用を測定することができませんでした。

KinExAはセルベースでアフィニティ測定が可能なので、これらの課題を解決できます。

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テクノロジーノート(TN211)をダウンロード

Amgen社

Having a robust methodology for characterizing antibody interaction with a membrane protein target
is essential for providing guidance on dosing, potency and thus expeced efficacy...
our study concluded that KinExA enables accurate measurement
of the KD for strong protein-protein interactions (sub-nanomolar values) compared to FACS. " 

Amit Vaish, Joanne S. Lin, Helen J. McBride, Peter J. Grandsard, Qing Chen,
Binding affinity determination of therapeutic antibodies to membrane protein targets: Kinetic Exclusion Assay using cellular membranes for anti-CD20 antibody

Anal Biochem. 2020 Nov 15;609:113974.

KinExA 4000

最新モデルのKinExA 4000では、従来のKinExA 3200と異なり、オートサンプラーが一体化され、測定前のサンプルは装置カバー内に置かれます。また、励起光源がハロゲンランプからLEDに変更され、チューブ配管が改良されるなど、メンテナンスコストの低減が図られています。

オプションの TC1000 チャンバーの中に装置を設置することで、インキュベーション中(平衡化中)と測定中の温度コントロールが可能です。

製品仕様

  KinExA 4000
励起光源 LED
検出器 フォトダイオード
オートサンプラー 標準付属(一体型)
ダイナミックレンジ

KD:10-2 - 10-16 (M)

kon:> 103 - 109 (M-1 sec-1

koff:< 10-6 - 10  (sec-1

本体サイズ 幅83 x 奥行38 x 高さ54 cm
本体重量 37 kg
本体電源 120-265 V、最大0.8 A、50/60 Hz
付属品

5 mL チューブラック

15 mL チューブラック

50 mL チューブラック

蛍光フィルターセット(****)

KinExA Pro ソフトウェア:2ライセンス

保証期間

1年間

(LEDランプ 10年間)

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