細胞製剤のスケールアップ培養に最適
水車攪拌式の細胞にやさしいシングルユースバイオリアクター
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幹細胞や免疫治療細胞の開発と生産に
水車攪拌式のシングルユースバイオリアクター
PBS Biotech社のPBSバイオリアクターは、独自の縦型水車攪拌翼(Vertical-Wheel Impeller)を用いたシングルユースのバイオリアクターです。
低いシェアストレスで細胞の生存率を高く維持しながら高密度に培養が可能で、種培養から生産スケールまで拡大培養を容易に行うことができます。
間葉系幹細胞(MSC)やヒトiPS細胞(hiPSC)などの幹細胞、あるいは免疫治療細胞の培養に特におすすめです。
細胞治療薬の基礎研究、プロセス開発、生産まで幅広いスケールでご活用いただけます。
アプリケーションハイライト
PBSバイオリアクターを用いた代表的なアプリケーションをご紹介します。
細胞製剤の培養に理想的な環境を提供
細胞治療薬の開発において前臨床試験から臨床試験に進み、最終的に商業生産まで行うには、細胞の品質を維持しながら、培養スケールを拡大していくことが求められます。
ユニークな攪拌方式(水車攪拌方式)を採用するPBS バイオリアクターはこのニーズをハイレベルで満たします。
研究段階での培養からPBS バイオリアクターを使用することで、将来的なスムーズなスケールアップに繋げることが可能です。
◆ 水車型攪拌翼による低い細胞剪断力
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PBSバイオリアクターでは、Vertical Wheel Impellarと呼ばれる水車型の攪拌翼により細胞の攪拌を行いながら培養を行います。この攪拌方式は次のメリットがございます。
- 消泡剤や剪断保護剤を使わずに低い剪断力(低いシェアストレス)で細胞にやさしい培養が可能
- 剪断感受性の高い細胞凝集塊や接着依存性細胞のマイクロキャリア上での培養に最適
- 培養器全体を迅速に攪拌し、均一な環境を提供
Vertical Wheel Technology
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水車型攪拌翼と培養器のU字底の隙間に強いフローが形成され、容器内を素早く均一に攪拌します。
攪拌領域の有効体積が大きいため、乱流エネルギー散逸率(EDR)が低く、穏やかな混合が可能です。
攪拌翼の回転は、攪拌ホイールと装置本体の間のマグネットドライブにより行います。少ない電力消費で効率的に攪拌が可能なように設計されています。
下の動画はリアクターに入れたフェノール液が培養器内で攪拌されている様子を示しています。大容量のリアクターでも容器内が迅速に均一になることがわかります。
◆ 細胞凝集塊のサイズコントロール
水車型攪拌バイオリアクターによる培養は、シェアストレスが小さく細胞にやさしい培養ができるだけでなく、培養容器内で細胞にかかるシェアストレスも均一です。
そのため細胞塊を作る細胞の培養において凝集塊のサイズを均一にできるというメリットもございます。
それだけでなく、攪拌速度を調整することで、細胞塊のサイズをコントロールすることも可能になります。
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図は、ヒトiPS細胞の培養において、水車攪拌式のPBSバイオリアクターと従来の水平攪拌翼を用いたバイオリアクターで凝集塊のサイズを比較した画像です。
PBSバイオリアクターでは、攪拌速度によらず均一なサイズの小さな細胞塊が得られています。
一方、従来の攪拌方式では、ミキシングが十分でないため、細胞塊のサイズが不均一で、そのサイズも比較的大きく、細胞を健常な状態に維持できていないことが示唆されます。
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また、その細胞塊のサイズ分布は、PBSバイオリアクターでは、どの攪拌速度においても、培養期間にわたって一定に保たれます。
一方で、従来の水平攪拌翼によるバイオリアクターでは、細胞塊のサイズ分布が培養が進むにつれて変化しています。
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マイクロキャリアを用いた培養に最適
足場依存的に増殖する接着細胞のスケールアップには、マイクロキャリアを用いた培養が効率的です。
マイクロキャリアに接着させて培養を行うことで、培養面積を格段に増やし、培養体積当たりの細胞数を稼ぐことが可能になります。
PBSバイオリアクターは、このマイクロキャリア培養にも適しています。
緩やかな攪拌が行われるため、従来のバイオリアクターを用いた時よりも、マイクロキャリアへの細胞接着と細胞増殖の改善を期待できます。
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◆ 同じ攪拌方式でスムーズにスケールアップ
水車型攪拌方式を用いるPBSバイオリアクターでは、同じ攪拌方式で60mLから80Lまでスケールアップすることができます。ワーキングセルバンクに始まり、生産スケールまでスムーズな拡大培養が可能です。
細胞治療薬の研究を始める方は、まずはラボサイズのPBS MINIでの培養から始めることで、将来の応用に活かすのが容易になります。
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培養スケールの変更に伴う攪拌均一性
PBSバイオリアクターは、攪拌速度が関わらずエネルギー散逸率(EDR)を一定に保つことができます。これは培養スケールが変わっても再現されるため、スケールアップとスケールダウンを容易に行うことができます。特に細胞塊を作る細胞の拡大培養に重要です。
PBS-Mini (0.1 L ベッセル)
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PBS-Mini (0.5 L ベッセル)
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PBS-3 (3 L ベッセル)
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PBS-15 (15 L バッグ)
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培養スケールの変化に伴う細胞増殖の再現性
下図は、0.5L(PBS Mini)から80L(PBS 80)までの各スケールの培養での、細胞密度と細胞増殖速度の比較です。比較したすべてのリアクターサイズで、均一な細胞密度(青)と細胞増殖速度(赤)が得られていることがわかります。
・細胞:ヒト間葉系幹細胞
・培養法:コラーゲンコートによるマイクロキャリア培養
・攪拌速度:ミニマムに設定
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レギュレーション(GxP)対応
PBS-3(3L モデル)、PBS-15(15L モデル)、PBS-80(80L モデル)はレギュレーション環境下での使用に対応しています。
21 CFR Part11 対応ソフトウェアとIQ/OQドキュメントおよびサービスをオプションで提供することが可能です。
詳細の内容は弊社までお問い合わせください。
製品仕様
各機種の仕様の詳細は下の表をご覧ください。PBS 3とPBS 15にはpHセンサー/DOセンサーを洗って再利用するモデルと、シングルユース(ディスポーサブル)のセンサーを使用するモデルがございます。
PBS Mini | PBS 3 MAG | PBS 15 MAG | PBS 80 MAG | |
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攪拌方式 | 水車型攪拌翼(マグネットドライブ) | |||
容量 |
60-100 mL 300-500 mL |
1.8-3.0 L | 9-15 L | 45-80 L |
制御可能項目 | 攪拌速度 | 撹拌速度、温度、pH、pO2 | ||
通気方法 | フィルターキャップ | 上面通気(オプションでスパージング可) | ||
攪拌速度 | 5-100 rpm | 5-50 rpm | 2-34 rpm | |
ガスコントロール | ー | マスフローセンサー(空気、N2, O2, CO2) | ||
温度制御 | ー | 室温 +5℃ ~ 40 ℃(± 0.2 ℃) | ||
DO制御 | ー | 2-side PID コントロール(N2, O2) | ||
排気 |
0.22 μm フィルター キャップ |
加温オーブン付き0.2 μm フィルター(結露トラップ付き) | ||
センサー | 回転数 |
回転数、温度、pH、 DO 、重量(液量) |
回転数、温度、pH、DO、圧力(液量、内圧) | |
シングルユース センサーモデル |
ー | あり | あり | ー |
培養容器材質 | ポリカーボネート | PVDF | ||
送液ライン材質 | ー | シリコン/C-flex | ||
ガスライン材質 | ー | シリコン | ||
装置サイズ | W13.5 x D18.5 H15.5 cm | W38 x D48 x H67 cm | W66 x D42 x H83 cm | W93 x D63 x H161 cm |
装置重量 | 1.3 kg | 36 kg | 84 kg | 223 kg |
設置 | 卓上 | 卓上 | 卓上 | 床置き自走式 |
電源 | 100V、1.5A、50/60Hz | 120V、2.5A、50/60Hz | 120V、6A、50/60Hz | 120V、12A、50/60Hz |
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