セルベースの分子間相互作用解析装置
LigandTracer シリーズ
生細胞を用いたセルベースの分子間相互作用解析を実現
膜タンパク質に対するリガンドの分子間相互作用解析に
細胞膜タンパク質は、分子標的治療薬あるいは分子イメージングプローブの重要な標的分子であり続けています。
しかし、膜タンパク質ならではの特性から、リガンドと膜タンパク質の正確な分子間相互作用(例えばKD値)を知ることは困難でした。
膜貫通領域に疎水性アミノ酸を多く持つ膜タンパク質は可溶化が困難で、可溶化できたとしても細胞で発現しているときの立体構造が失われてしまいます。したがって、SPRやBLI等の従来法では、受容体などの膜タンパク質に対する薬剤や分子プローブの相互作用を正確に解析することができませんでした。
LigandTracerは非常にシンプルな測定原理でこの課題を解決しました。
検出できるプローブ(蛍光 or RI)の種類と核種により、4機種がラインナップされています。
特徴と利点
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- 細胞を生かしたままリアルタイムに解析が可能
- リガンド結合メカニズムあるいは受容体に関する多彩なデータを得ることが可能
- 簡便な操作性
- 低いランニングコストとメンテナンスコスト
測定原理
LigandTracerの測定原理はシンプルです。
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細胞はディッシュ底面の一部のみに接着させます。 - 標識したリガンドを含む培地をディッシュに入れます。
- 装置上でシャーレが回転し、細胞が培地に浸るとリガンドが細胞膜上のタンパク質(受容体)に結合します。
- 受容体に標識リガンドが結合した細胞が検出器の直下を通過するとシグナルが検出されます。
このシンプルな測定原理と多彩なデータ解析が可能な機能的なソフトウェアにより、リガンド-受容体結合に関する様々な情報を得ることが可能です。
※ 動物培養細胞だけでなく、ディッシュに固定化できる様々なターゲットを解析対象とすることができます。
※ 測定は基本的に1サンプルずつ行います。スクリーニング等のスループットを求める実験には適しません。
アプリケーション
LigandTracerの応用範囲はとてもフレキシブルで多彩です。
知りたいこと(得たい解析データ)、測定対象(Binding Partner)、リガンドの種類(Binder)からアプリケーションを選んでください。それぞれのアプリケーションの説明ページにリンクされます。
知りたいことから選ぶ
(下からクリックで選択)
結合親和性とカイネティクス |
標的分子への結合特異性 |
受容体のクラスタリングと ダイマー化 |
薬剤修飾分子の キャラクタライゼーション |
結合親和性への温度の影響 |
リガンド結合と機能 |
論文例
ソフトウェア
TraceDrawer
LigandTracerに付属する標準解析ソフトウェアです。リアルタイム相互作用データから、簡単なマウス操作で多彩なデータを得ることができるパワフルな解析ツールです。
最も一般的な使われ方は、実測した結合カーブの理論カーブへのフィッティングと、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)、平衡解離定数(KD)の算出、結合部位飽和時のシグナル(Bmax)の算出ですが、ツールボックスの選択あるいはアドオンの追加により、それ以外の様々な解析を実行できます。
解析後のグラフデータは、画像ファイルとして直接エクスポートが可能で、論文投稿データとしてご使用いただけます。
結合/解離速度定数と親和性
定常状態の解析
EC50/IC50の算出
異なるランの比較
結合特異性の解析
濃度定量
溶媒による影響の補正
解析前のデータ処理
解析後のデータエクスポート
TraceDrawerは他社の分子間相互作用解析装置のデータ解析にもご使用いただけます(適合装置についてはお問い合わせください)。
InterationMap
データをRidgeview Instruments社にお送りいただくことでお使いただける解析ツールです。
InteractionMapではリガンドと受容体の結合様式について、さらに進んだ解析が可能です。解析結果は2Dあるいは3Dのヒートマップとして表示され、リガンドと受容体の個々の1:1の結合イベントがピークとして示されます。
例えば、ダイマー受容体との結合が、モノマー受容体との結合と別のピークとして表示され、それぞれの結合様式についての結合カーブを得ることができます。親和性と結合カイネティクスも別々に解析され、それぞれの結合モードの割合も知ることが可能です。
リガンドの結合メカニズムについて一歩進んだデータを得ることで、リガンド-受容体結合が関わる生物学的プロセスの理解が深まるだけでなく、医薬品開発における開発薬剤の評価の精度を高めます。
機種比較
LigandTracerにはリガンドのプローブ法に合わせて4機種がございます。
蛍光検出モデルのLigandTracer Greenは4種類の異なる励起LED/蛍光フィルターのカセットから選択します。カセットは入れ替えて使用可能です。
LigandTracer Green | LigandTracer Yellow | LigandTracer Grey | LigandTracer White |
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蛍光色素 (5種類から選択) |
高エネルギー γ核種 (~0.1-1.3 MeV) |
低エネルギー γ核種 (~10-60 keV) |
β核種 |
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99mTc, 111In, 177Lu, 68Ga, 188Re, 89Zr, 90Yt |
125I | 18F, 14C, 35S, 11C, 111In |
製品の詳細 | 製品の詳細 | 製品の詳細 | 製品の詳細 |
※ LigandTracer Greenはマルチウェルディッシュによる複数検体の同時測定が可能です。
LigandTracer Greenの対応蛍光色素例はこちら
製品仕様
LigandTracer |
LigandTracer |
LigandTracer |
LigandTracer | |
検出器タイプ |
LEDベース 蛍光検出器 |
ガンマ線 半導体検出器 |
X線 半導体検出器 |
電子/ポジトロン 半導体検出器 |
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検出エネルギーレベル | ― | 0.1 - 1 MeV | 10 - 60 keV | 0.05 - 1 MeV |
検出器モデル | Ex 488 / Em 535 nm Ex 488 / Em 575 nm Ex 535 / Em 589 nm Ex 589 / Em 632 nm Ex 632 / Em 671 nm |
― | ||
適合ディッシュサイズ | 直径87-89 mm | |||
温度コントロール | ー | +7℃ ~ +37℃ | ||
シグナルの単位 | Fluorescence inetnsity | Counts per second | ||
シグナルレベル * | 10-500 I (488/535) 50-5000 I (488/575) 10-500 I (488/535) 10-500 I (589/632) 50 - 5000 I (632/671) |
10-1000 CPS | 2-200 CPS | |
ノイズレベル * | 1-3 I | < 5 CPS | < 2 CPS | < 1 CPS |
データ周波数 * | 0.1 - 0.01 Hz | |||
アッセイ時間 * | 1 - 24 時間 | |||
解離定数と結合/解離速度定数の測定範囲 * | KD: 10 pM - 1 μM ka: 102 - 105 M-1 sec-1 kd: 10-2 - 10-6 sec-1 |
KD: 1 pM - 1 μM ka: 102 - 105 M-1 sec-1 kd: 10-2 - 10-7 sec-1 | ||
本体サイズ | W20 x D40 x H25 cm | W20 x D40 x H20 cm | ||
標準付属品① (共通) |
ラップトップPC 1台 TraceDrawer ソフトウェア 3ライセンス ラーニングソフトウェア 1個 カルチャーブラケット 1個 | |||
標準付属品② (Greenのみ) |
検出器(488/535)1個
細胞培養用 デモキット 1個 |
ー |
* これらはすべて典型的な数値で表示されています。
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