Odyssey シリーズ
Odyssey F イメージングシステム
蛍光ウェスタンブロットやIn-Cell Western アッセイによる
タンパク質発現解析に
Odysseyシリーズの伝統を引き継ぐ蛍光イメージングスキャナー
Odyssey F イメージングシステムは、ウェスタンブロットやゲルだけでなくプレートベースのアッセイにも対応する蛍光専用のイメージングスキャナーです。世界中のラボで多くのファンを持つOdyssey ClassicあるいはOdyssey CLxの後継モデルで、Odysseyシリーズのベストセラー製品です。
蛍光検出法による定量ウェスタンブロットとIn-Cell Western アッセイ(セルベースのハイスループットなタンパク質発現解析法)を中心に、GFP/RFPなどの蛍光タンパク質の発現レベルの解析、あるいはゲルシフトアッセイ(EMSA)など多彩な蛍光アプリケーションに対応します。
従来モデルよりもスキャンスピードが向上したOdyssey Fには、近赤外蛍光専用の2レーザーモデルと可視蛍光にも対応した4レーザーモデルがございます。
4レーザーモデルは3色での蛍光ウェスタン解析やIn-Cell Westernアッセイが可能で、GFP/RFPのイメージングにも対応するなど、あなたのラボの柔軟性を高めます。
2レーザーモデルと4レーザーモデル
Odyssey F イメージングシステムには、2レーザーモデルと4レーザーモデルの2つの機種がございます。
4レーザーモデル
励起光源として、近赤外波長の半導体レーザー2種類と可視波長の半導体レーザー2種類を搭載し、エミッションフィルターとの組み合わせで合計10チャンネルでの蛍光イメージングが可能です。
蛍光ウェスタンブロットとIn-Cell Westernアッセイは3色まで対応できます。GFPやRFPの検出も可能です。
- 488 nm レーザー(4チャンネル)
- 520 nm レーザー(3チャンネル)
- 685 nm レーザー(2チャンネル)
- 785 nm レーザー(1チャンネル)
2レーザーモデル
励起光源として、近赤外波長の半導体レーザー2種類を搭載し、エミッションフィルターとの組み合わせで合計3チャンネルでの蛍光イメージングが可能です。
蛍光ウェスタンブロットとIn-Cell Westernアッセイは2色まで対応できます。蛍光タンパク質の検出はiRFPに対応します(GFPとRFPには非対応)。
- 685 nm レーザー(2チャンネル)
- 785 nm レーザー(1チャンネル)
高感度&高品質な画像取得
スキャナー方式による高感度な画像取得
Odyssey F イメージャーは、スキャナータイプのイメージングシステムです。
検出対象(メンブレンなど)と検出器の距離が近いため、光の減衰が少なく、CCDカメラタイプのイメージャーよりも高感度な撮影が可能です。
励起光源には、半導体レーザーを使用します。LED光源と比べて励起波長幅が狭く、ピンポイントの波長で励起が可能です。励起光の検出チャンネルへの漏れ込みが少ないため、バックグラウンドが低く、より高感度な画像取得を可能にします。
さらに、波長特異性が高いことから、マルチカラーイメージングの際に蛍光色素間における波長干渉(クロストーク)がほとんどなく、より正確な実験を行っていただくことができます。
>6桁のダイナミックレンジによる再現性の高い画像スキャン
ウェスタンブロットの撮影の際、露光時間をどうされていますか?
これまでのイメージャーでは、必ず露光調整が必要でした。
それは、それぞれのバンドに合わせて適した露光時間で撮影しないと、シグナル強度の弱いバンドは十分に検出できず、逆にシグナルの強いバンドはサチュレーションしてしまうからです。
この露光調整(あるいはAuto-Exposure機能や逐次露光機能を利用した撮影)は、合理的に聞こえますが、定量再現性という点では課題がありました。
露光時間を調整するということは、その調整加減によって画像の見た目と定量値(発現比)が変わってしまうことを意味します。しかも、毎回同じように調整するのは困難で、再現性の点でも問題がありました。
Odyssey Fは、この問題を解決することができます。他社のイメージャーにない6桁以上の広いダイナミックレンジを備え、露光設定を変えることなく、弱いバンドと強いバンドを常にワンショットで撮影可能です。Auto-Exposureという名の露光調整機能も不要です。
創薬研究を加速するマルチプレックス解析
すべての実験科学において、得られるデータの信頼性はその根幹です。
新たな医薬品の開発を目指す創薬研究においては、その重要性はさらに増します。再現性の高い実験データは、その科学的結論に信頼性を与え、創薬ステップを迅速に進めるにあたって確実性をもたらします。
Odyssey イメージングシステムは、定量ウェスタンブロットのデータ信頼性という点で他のウェスタンイメージャーよりも秀でています。
さらに、もう1つの代表的なアプリケーションであるIn-Cell Western アッセイは、データ信頼性と実験スループットという相反しがちな条件を共に満たすため、創薬研究(特に薬効薬理研究)に欠かせない実験手法となりつつあります。
ウェスタンブロットとIn-Cell Western アッセイにおいて、その定量性を確保するにはインターナルコントロールを同じレーン(あるいはウェル)から検出して、正確にノーマライゼーションを行うことが重要です。例えばリン酸化解析においては、リン酸化ターゲットと同時にトータルターゲットを同じレーン(あるいはウェル)から測定して、実験的なばらつきを補正することが求められます。そのためにはマルチプレックス解析をできることが大切になります。
最大3色によるマルチカラー蛍光ウェスタンブロットに対応
Odyssey Fの4レーザーモデルは、最大3色でのマルチカラー蛍光ウェスタンブロット撮影が可能です(2レーザーモデルは最大2色)。
インターナルコントロール(HKP、総タンパク質染色、全ターゲットタンパク質)に加えて、2種類のターゲットタンパク質を同じメンブレンから同時に検出することで、1枚のブロットから得られるデータを増やしていただけます。
ミニブロット(10x10 cm)を約4分(2色の場合)あるいは約8分(3色の場合)でスキャンします。
最大3色によるIn-Cell Western アッセイに対応
Odyssey Fの4レーザーモデルは、In-Cell Western アッセイも最大3色で行うことができます(2レーザーモデルは最大2色)。
インターナルコントロール(CellTag染色による総細胞数シグナルなど)に加えて、2種類のターゲットタンパク質を同じウェルから同時に検出して定量することが可能です。
プレートフォーマットは384ウェルプレートまで対応し、1回で最大4枚のプレートをスキャンできます。
1プレートを約3分(2色の場合)、あるいは約6分(3色の場合)でスキャンします。
メンブレンとゲルだけでなく、マルチウェルプレートやスライドまで
Odyssey F イメージングシステムは、メンブレンとゲルだけでなく、マルチウェルプレートやスライドガラスまで、1台で幅広くイメージングが可能です。
広いスキャンエリアを利用して複数枚の画像を1回で取得できます。
- メンブレン: 最大6枚スキャン可能(ミニブロットサイズの場合)
- ゲル:最大6枚スキャン可能(ミニゲルサイズの場合)
- プレート:最大4枚スキャン可能(プレートフォルダーを使用)
- スライド:最大12枚スキャン可能(スライドフォルダーを使用)
※プレートフォルダーとスライドフォルダーはオプションアクセサリーです(有償)。
正確な定量解析を可能にする次世代画像解析ソフトウェア
Odyssey F イメージングシステムには、生画像からの信頼性の高い数値化解析を誰でも簡単に短時間で実現することができる次世代の画像解析ソフトウェア Empiria Studioが標準で付属いたします。
これまでの「バンド強度を数値化するだけのソフトウェア」とは一線を画す新しいタイプの画像解析ソフトウェアです。
画像解析に不慣れな方から精通した方まで、エキスパートレベルの画像解析をシンプルな操作で簡単に行うことが可能です。
定量ウェスタンブロット解析
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- リニアレンジの解析、ハウスキーピングタンパク質の検証など定量性の確保に重要なバリデーション解析機能を搭載
- バックグラウンド補正など主観に頼りがちだった解析ステップを先進のアルゴリズムで自動化、再現性の高い定量解析が可能
- 総タンパク質補正におけるレーン強度を正確に解析
In-Cell Western 解析
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- アッセイ構築ガイドと合わせて使用することで、In-Cell Westernアッセイが初めての方でもアッセイ最適化を効率的に実行可能
- 解析者間差や実験間差の少ない再現性の高い定量結果を取得可能
- 実験結果のグラフ化までソフトウェアが実行
実験結果を短時間で取得
Empiria Studio ソフトウェアは、皆様が実験結果を手にするまでの時間を短縮します。
これまでの画像解析ソフトウェアでは、各バンドや各ウェルのシグナル強度を数値化した後に、ノーマライゼーション補正、平均値やバラつきの計算、実験群間の発現比の計算やグラフ化などを1つ1つ別のソフトウェア(Excelなど)で行っていました。
Empiria Studioはこれらのプロセスをすべて、一連の流れで短時間で行うことができます。そのため、最終結果を得るまでにかかっていた時間を大幅に短縮し、研究活動を効率化することができます。
さらに、その実験結果は研究者間や上司・先輩と1つのファイルで容易に共有することができるため、ディスカッションや実験報告のためにわざわざ資料を作る手間も大幅に削減できます。
優れた実験結果は、優れた試薬から
LI-COR社のアッセイ試薬はOdyssey イメージングシステムでの使用に最適化され、そのパフォーマンスが検証されています。
ウェスタンブロット実験からIn-Cell Western 実験、あるいはその他のアッセイまで、LI-COR社の試薬を用いることでデータの品質を高いレベルに確保することができます。
製品仕様
仕様表
4レーザーモデル | 2レーザーモデル | |
方式 | ポイントスキャナー | |
イメージングエリア | 25 x 18 cm | |
励起光源 |
488 nm 半導体レーザー(平均寿命40,000時間) 520 nm 半導体レーザー(平均寿命40,000時間) 685 nm 半導体レーザー(平均寿命40,000時間) 785 nm 半導体レーザー(平均寿命40,000時間) |
685 nm 半導体レーザー(平均寿命40,000時間) 785 nm 半導体レーザー(平均寿命40,000時間) |
検出チャンネル |
488: Ex 488 nm / Em 519-543 nm 488A:Ex 488 nm / Em 570-610 nm 488B:Ex 488 nm / Em 721-740 nm 488C:Ex 488 nm / Em 826-840 nm 520: Ex 520 nm / Em 570-610 nm 520B:Ex 520 nm / Em 721-740 nm 520C:Ex 520 nm / Em 826-840 nm 700: Ex 685 nm / Em 721-745 nm 700A:Ex 685 nm / Em 816-840 nm 800: Ex 785 nm / Em 816-840 nm |
700: Ex 685 nm / Em 710-730 nm 700A:Ex 685 nm / Em 812-832 nm 800: Ex 785 nm / Em 812-832 nm |
検出器 | Silicon avalanche photodiodes | |
解像度 | 21, 42, 84, 169, 337 µm | |
ダイナミックレンジ | > 6桁 | |
フォーカス | -1.00 ~ 5.00 mm | |
標準付属コンピューター | Windows 11 デスクトップ コンピューター&モニター | |
標準付属ソフトウェア |
LI-COR Acquisition Software: 1 ライセンス Empiria Studio Software: 1 ライセンス | |
オプションソフトウェア | Image Studio Software(無償ダウンロード) | |
オプションアクセサリー |
プレートフォルダー スライドフォルダー | |
本体サイズ | 幅53 × 奥行62 × 高さ37 cm(リッドオープン時の高さは74 cm) | |
本体重量 | 32 kg | |
動作環境 | 15-30 ℃(結露点22℃以下)、汚染度2 以下 |
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